働いていたら会社を辞めたくなることは誰にでもあります。
「悩み」「不満」「イラつき」「お金」など問題はいつでもどこからでも降って湧いてきます。
今、会社を辞める人は非常に多く、20人に1人が転職する時代です。
年 | 転職率 |
---|---|
2015年 | 4.7% |
2016年 | 4.8% |
2017年 | 4.8% |
2018年 | 4.9% |
2019年1-3月 | 5.0% |
出典:総務省統計局
たくさんの人が会社を辞める時代なので、辞める理由も多様です。
以下、転職サイトのマイナビが実施した「会社を辞めたい理由」ランキングです。
1位:給与や福利厚生が良くない
2位:職場の人間関係が良くない
3位:休日や残業時間などの待遇が良くない
4位:仕事内容にやりがいを感じない
5位:会社に安定性、将来性がない
6位:仕事を正当に評価してもらえない
7位:経営理念や社風が合わない
7位:職場環境が悪い
9位:希望の勤務地でない
出典:マイナビ
出典:マイナビ
SEで働いている人も上記のような不満や悩みで「会社を辞めたい」「転職したい」と考える人も多いはず。
でも、いきなり辞めてしまうのは後から後悔を生むことになるかもしれません。
この記事では、SEが転職で後悔しないために、転職前にとる「分析と行動」について紹介します。
会社を辞めたいと思ったSEが後悔しないために考えるべきこと
会社を辞めたいと思った時、以下の順番で現状分析を始めます。
- 会社を辞めたい理由を深掘りする
- 会社を辞めなくてもいい方法を探す
- 転職を検討する
1.会社を辞めたい理由を深掘りする
- なぜ辞めたいのか?
- 何が不満なのか?
- その不満の原因はまわりのせい?自分のせい?
- 自分で解決できないか?
会社を辞めたい理由を深掘りして考えると
- 頭と心が整理できて冷静になれる
- 会社を辞めなくてもいい方法が見つかる
- 会社を辞める目的がハッキリするので転職で失敗しにくくなる
「本当は辞めなくてもよかった」「なんとなく辞めたので、転職先もなんとなく決めてしまった」といった後悔をしないためにも辞めたい理由の分析は大切です。
辞めたい理由を冷静に分析して行動すると、辞める結論になっても辞めない結論になっても、どちらにしてもプラスに前進します。
2.会社を辞めなくてもいい方法を探す
辞めたい理由を分析した結果、辞めたい原因が「所属部署」「仕事内容」にあるなら、会社を辞めなくても解決できるかもしれません。
配置転換・部署異動の交渉等で悩みが解決するなら、会社に残った方がよい場合もあります。
退職や転職活動はパワーを使いますし、同じ会社に長くいた方が昇進昇格や退職金で優遇される会社がまだまだ多いのが日本。
「会社辞めたい理由」を分析して「会社を辞めずに済む」のなら、同じ会社でもう少し頑張ってみるのも賢い選択肢です。
焦らずに現状分析して、腰を据えて考えたいです。
3.会社を辞めないと解決できない時に、はじめて転職を考える
辞めたい理由が、現在の会社では解決できない問題だった場合にはじめて転職を検討します。
なぜなら「このまま今の会社に居ても悩みは解決しない」とあなたが答えを出しているからです。
答えが分かれば行動するしかないです。動かないとずっとそのまま悩み続けるだけです。
- 転職サイトを眺めていたら好条件の求人が見つかった
- 転職エージェントに相談したら、転職サイトにない優良案件の紹介があった
- いつでも辞められるという余裕がでる
- 余裕がでると、今の会社でのストレスが減る
在職中の転職活動で得られるメリットは上記です。
”とりあえず”でも転職活動を始めてみると、思ってもみなかった効果が出るかもしれません。
とはいっても、転職活動は面倒で楽なものではありませんよね。
さらに失敗のリスクもあるとなると、なおさら勇気が出ず行動できないです。
そんな悩みをお持ちの方は、以下の「転職する勇気が出ないのはなぜ?【一歩踏み出す勇気を出す方法】」を参考にしてみてほしいです。
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転職する勇気が出ないのはなぜ?【一歩踏み出す勇気を出す方法】
続きを見る
会社を辞めたいSEは、なぜ辞めたいか理由を具体的に考えてみる
ここからは、SEが会社を辞めたいと思う理由別に、辞めるべきか残るべきかを具体的に考えていきます。
給与に不満!「お金」が理由で会社を辞めたい
マイナビの会社を辞めたい理由ランキングで1位だった「給与・福利厚生への不満」、一言でいうと「お金」が理由で辞めたいとき。
1.いくら欲しい?先輩や上司の給料は?
漠然と、もっとお金が欲しいから会社を辞めて給与のいい大手企業に転職したい。
お金が欲しいのは当たり前なのですが、「いつまでにいくら欲しいのか」を具体的に思い浮かべてみます。
同年代の友人や少し上の先輩と比較してみるのもいいかもしれません。
まず、具体的な数値目標を掲げてみます。
2.成果をあげて昇進昇格・資格手当等を加えても達成できないか?
SEであれば、情報系の資格手当が月額給与に加算される会社も多いはずです。
今の会社で今すぐに給与アップされるのはこれぐらい・・・
次に将来的な報酬目標。
昇進昇格したら何歳でいくら貰えるかは、会社の給与体系表を確認しても分かりますし、手っ取り早く周りの先輩・上司を探ってみるのもいいかもしれません。
今の会社でのあなたの評価から、何歳までにどの階級まで昇進していて、いくら貰えるかイメージできると思います。
それが、掲げた目標金額に到底及ばないのなら、今の会社で「お金の不安」を解決するのは厳しいです。
3.今の会社で頑張っても期待できないなら転職を検討
今の会社に居ても、将来満足できる給料を貰えないとなれば転職を考えます。
動かないと、あなたがどれだけ開発スキルがあっても、SEとしての能力が高くても、理想の給料を稼げません。
給料が低いのは「会社が悪い」と割り切って、あなたの能力が活かせて今より給料をもらえる会社に転職すべきです。
無茶な開発スケジュール!残業が多い!「労働時間・環境」が不満で会社を辞めたい
多くのSEが悩んで疲れる残業。
- 定時で帰れる日がほとんどない
- 休日出勤が多い
- 残業ありきの無謀なシステム開発スケジュールばかり
労働時間・環境に不満がある場合に考えることを紹介します。
1.なぜ残業が多いのか?周りのせいか自分の責任か
まず、残業が多い理由は、お客さん・会社・上司・先輩・後輩・はたまた自分のせいなのかを考えます。
残業が多い理由
無茶な納期を依頼してくるお客さん
それを受ける会社
仕事をプロジェクトチームに放り投げるだけの上司
効率の悪い開発チームを作り上げる先輩(上司)
全然成果があがらず不具合ばかり出す後輩
どんな理由で残業が多いのか考えるともしかしたら改善できるポイントが見えるかもしれません。
2.残業しているのは限られた人だけ?
周りは早く帰っているのに、自分や自分の周りだけが残業が多いなら解決できる可能性があります。
あなたの周りだけに残業を発生させる要因があるなら、会社を辞める前に解決できる方法がないか考えてみてはいかがでしょうか。
本当に残業がつらいなら、部署異動やプロジェクト内での配置換えや増員を提案してみてください。
もしも邪険に扱われたらならそれはそれで、見限るキッカケにもなるはず。
3.周りの社員も慢性的に残業が多い(社風)場合は、残業が少ない会社(社内SE・ユーザー系SIerなど)へ
とはいえ、一社員が頑張っても残業を減らすのが難しい会社も多いですね。自分のノルマをこなしても周りが残業していたら、追加で作業が降ってくることもありますよね。
慢性的に残業が多い会社であれば、その会社にいる限り残業を減らすことはできないかもしれません。
残業が少なめな、一般企業の社内SEやユーザー系SIerを候補として転職活動を始めるのが吉です。
筆者はユーザー系企業でSE職をしていますが、残業は月に数時間レベルです。
プロジェクトの納期間近では残業が多くなることはありますが。
開発がしたい!やりたい「仕事内容」ができなくて会社を辞めたい
一口にSEの仕事と言っても内容はさまざまです。
「プログラムやテストをメインでおこなう人」「管理しかしない人」「ほとんど営業のような仕事」の人もいます。
SEは、会社や現場によって定義が曖昧なことも多く、思っていたのと違う・やりたい仕事に就けていない人も多いでしょう。
仕事内容で会社を辞めたい人は何を考えればいいのでしょうか。
1.どんな仕事内容なら満足して働けるか整理する
今の仕事内容に不満があるなら「何が不満なのか」「どんな仕事内容なら満足するのか」を整理します。
SEの仕事内容に関する不満について具体例を挙げてみると
- 開発(プログラム)がやりたい
- 上流工程がやりたい
- テスターはもうごめんだ
- 管理の仕事はやりたくない
- Web系の仕事にチャレンジしてみたい
などがあるでしょうか。
まずは、現在の仕事内容の何が不満で、自分がどうなりたいのかを整理します。
以下の「SEのキャリアプラン一覧【数年後に理想の姿になれるか想像して行動】」の記事ではSEのキャリアアップの道と行動すべきタイミングについて解説しています。
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SEのキャリアプラン一覧【数年後に理想の姿になれるか想像して行動】
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2.今の会社でやりたい仕事内容に就けるか考える
上流工程ではなく開発(プログラム)がやりたい人であれば、他部署への異動やプロジェクトでの立ち位置を変えてもらうなど、今の会社でやりたい仕事が実現できる方法を考えます。
逆に上流工程がやりたい人は、あなたにスキルがあってもSES会社所属なら、上流工程を担当させてもらえる機会がほぼないかもしれません。
今の会社で、自分のやりたい仕事内容にシフトできる道が残されていないか模索します。
3.今の会社でやりたい仕事に就けない場合に転職を考える
部署異動などでも、あなたの望む仕事ができない場合には転職を検討します。
視野を外に広げれば、あなたのやりたい仕事に就けるチャンスはいくらでもあります。
狭い世界で悩んでいるのはもったいないですからね。
転職サイトに登録してやりたい仕事で求人検索してもいいですし、転職エージェントに相談し、案件を紹介してもらってもいいです。
SEに多い悩み「客先常駐」に疲れたので会社を辞めたい
IT業界特有の働き方が客先常駐です。客先常駐が嫌という声は多く聞きます。
客先常駐に不満がある場合に考えることを整理します。
1.なぜ客先常駐が嫌なのか
客先常駐が嫌といっても、理由はさまざまなはずです。
- 給与体系が低いことに不満
- 将来キャリアアップできない
- 現場(勤務先)が変わることへのストレス
- 現場が変わるたびに人間関係を構築するのがしんどい
給与体系や人間関係など複合的な理由な場合は、それぞれを深掘りして分析していきます。
2.自社で開発している部署があるか?
客先常駐を今の会社で回避するために、「自社開発している部門・部署への部署異動」で客先常駐が嫌という辞めたい理由の対策になるか分析します。
1つあるいは複数の理由が部署異動で解決できるなら、今の会社に留まるのがオススメです。
2.解決できないなら自社開発の会社・大手SIerへ転職する
客先常駐メインの会社で、部署異動や配置転換が厳しいなら「自社開発の会社」「大手SIer」へ転職を目指します。
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なお、転職時には転職サイトではなく転職エージェントの方が優良案件が多くオススメです。
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また転職する際には、「客先常駐が嫌」ではなく「上流工程がやりたい」「自社製品を開発してみたい」などポジティブな転職理由を用意しておきたいです。
いきおいで会社を辞めると後悔するかも
会社を辞めたいSEは、まずは今の会社で、どうすれば快適な会社員生活が送れるか考えたいです。
今の会社を辞めなくても悩みが解決するならそれがベストです。
転職する前にじっくり「ナゼ辞めたい?」「辞めない方法は?」を考えて決断したなら、後々の後悔も減るはずです。
思い付きやいきおいで辞めてしまっても、人材不足のIT業界なら簡単に転職先は見つかるでしょう。
ですが、また「同じような会社」「同じような仕事内容」の会社を選択してしまい、結局今いる会社と同じ悩みを抱えることになってしまうかもしれません。
考え抜いた結果、辞めると決断した場合。
思い付きやいきおいで辞めた場合より、自己分析ができている分、転職活動もうまくいきやすいです。
いきなり辞めると生活へのリスクも出てしまいますし。転職活動するなら、在職中に余裕をもっておこなうべきです。
在職中の転職活動はバレる?バレたらどうなる?【気を付けたいポイント】
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【重要】会社を辞めたい気配は消す
「彼・彼女は会社を辞めそうだな」という気配は消しましょう。
会社では今までとなんら変わらない振る舞いで過ごし、退職を察知されないようにします。
特に、会社を辞めて転職するか迷っている段階で”気配”を出してしまうのは愚行です。
あなたが「どうせ会社を辞める人」と思われることで生じる可能性のあるリスクは下記です。
- どうせ辞めるからテストだけさせておこう
- 厳しめの開発スケジュールにぶっ込んでもいいだろ
- 腫れ物扱いされて居づらくなる
- 元々嫌いだったし、辞めそうだから退職してしまうくらいの爆弾を渡そう
- 上司がさらに上の上司に報告して面倒なことになる
余計なリスクは減らしていきたいです。
逆に「どうせ辞めるから雑用的な仕事だけ任せておこう」と半窓際社員となり仕事が楽になるかもしれませんが、それは転職が決まってから楽しんでください笑
「会社を辞めるか迷っている」「転職活動中」の段階では、「会社を辞めそう」と思われないようにすべきです。
強かに行動を進めたいですね。
まとめ:後悔しないために、会社に残る方法を考えて、無理なら転職
冷静に分析して、あなたの中で「辞める必要がない理由」「辞める理由」「辞めなければならない事情」をハッキリさせることが先決です。
優先で考えるのは「今の会社で生き残る方法」で、それがどうしても無理な場合は、速やかに転職活動します。
ただ、いきおいで会社を辞めてしまうと後で後悔してしまうかも。
もし、いきおいで会社を辞めてしまうと、収入が途絶えて早く再就職しないといけないという焦りが生じます。
焦って行動しても良いことはひとつもありません。失敗のリスクが増えてしまいます。
失敗のリスクを減らすためには、在職中に転職活動するのがカギです。
金銭面だけでなく、心にも多少余裕のある状態で転職活動した方が絶対にうまくいきやすいですよね。
後悔しないように進みたいですね。